· 

セルフ二次小ネタ集(夜明)

 

※主にツイッターでの小ネタ。

 

 

●バレンタイン(タスハ、ジェハナ、ウズル)

 

1)タスハはチョコをおねだりとかできないだろうな、という話

 

「タスハ様、欲しかったら欲しいってはっきり言わないと貰えませんよ」

「いやしかし、お菓子を欲しが(って許され)る歳でも…」

「そ、そうですよね! ごめんなさい、こんな子供向けのお菓子なんて、

 かえって失礼でした!」(退散)

「あっ」

「ほら…」

 

「あの、ウズルさんはお菓子は…」

「喜んで頂きます」(真顔)

「ああ良かった、どうぞ。……もし失礼でなければ祭司様にも…」

「ええ、もちろん分けますよ。ありがとうございます」(にっこり)(面倒くさい大人達だな!)

 

2)チョコがない世界なら「お菓子の日」にすればいいじゃない

 

「どうなさったんですか皆さんで… これは、お菓子?」

「ええ。明日は参拝者全員に焼き菓子を振る舞うのですよ」

「大変な数ですね。あの、私もお手伝いしましょうか」

「いえ、ご厚意はありがたいのですが、我々神官の仕事ですから」

「そ、そうですね」(萎れ)

 

「導師様、作ってみたいんでしたら、材料には余裕がありますよ」

「良いんですか」

「はい。どうせ焼くのはいっぺんにやりますし。

 ジェハナ様の手作りを頂けるならタスハ様も喜びますよ」

「ウズル!」

「あれ、欲しくないんですか? じゃあ弟子2人ぶんだけ作ってもらいますよ」

「そうじゃないだろう、おまえ、ジェハナ殿にそんな手間をだね…」

「あ、あの! 3人分作りますから!」

「…」

「楽しみですね、タスハ様」

「……」

「大丈夫です、実際にやったことはありませんけど、

 子供の頃よく厨房に入り浸って見てましたから!」

 

(窯から出した)

 

「ご、ごめんなさい…」

「初めてにしては上出来ですよ。形が崩れただけですから」

「でも」

「(ぱくり)うん、ちゃんと美味しい(見た目はむごいが)」

「ああ良かった…!」(輝く笑顔)

「……」(ぐらり)

 

*ジェハナはお嬢様な上に、何をするにしてもまずウルヴェーユを使うから、

 手仕事は不慣れで不器用という設定。練習すればそれなりにはできますが、

 現状はタスハのほうが家事全般プロい。

 

「お恥ずかしいです……祭司様はあんなきれいな花飾りも作られるのに。

 わたしったら何の取り柄もなくて」

「一事を万事に広げるものではありませんよ。あなたは大変仕事熱心でいらっしゃるし、

 生徒たちにも親身にかつ公正に接して指導も丁寧だと皆言っていますし

 (以下延々褒め言葉)」

「おまけに美人ですしねー!」

「ウズル! 茶化すんじゃない、真面目な話だぞ」

「分かってますよ。でもその辺にしておかないと、ジェハナ様が溶けちゃいますよ」

「」

 

*この後、赤面しているジェハナを見て我に返ったタスハも顔面火災になって

 二人してあたふたモジモジするまでがお約束。

 タスハは祭司モードだと賛辞も言えるし、慰めや励ましのため肩や手に触れるのも平気。

 我に返ると発火する。めんどくさい大人たち!!

 

 

●ホラー映画を見せてみよう

 

「もし気分が悪くなったら止めますから、我慢しないで下さいね」

「お気遣いありがとうございます。でも多分平気です。わたし、わりとホラー好きなんですよ」

「」

 

(再生)(緊迫の状況でいがみ合う仲間)

 

「あぁ…またこういう女の描き方…

 それどころではない時に、昔の恨みや些細な失敗を金切り声で責める役回り、

 多いんですよね……実際にもいますけど」

「…」

「この馬鹿な行動のせいで仲間がやられますよ、絶対。…ほら来た」

「」

「ぅわ……これは露骨ですね。…祭司様? 大丈夫ですか、顔色が」

「……すみません、ちょっと…失礼」

 

(ジェハナ1人で見終わった)

 

「……っていう結末でした。わりとすっきりした終わり方でしたよ」

「ありがとうございます。いや、お恥ずかしい」

「祭司様は、作り話でも人が苦しむのを見るのがおつらいのですね」(微笑)

「(赤面)(あたふた視線そらす) あっ」

「え? ……っ きゃあー!!」

 

「シッ、シッ。そら、出て行きなさい」

「ああぁぁ祭司様危ないです駄目いやー!!」

「ただのクモですよ(苦笑)」

「ぅぅ… どうして平気なんですか…」(涙目)

「それは私の方がお尋ねしたかったのですが」

 

*これを基にしたセルフ二次短編が『坂の上の猫』などです。

 

 

●ハシュバルさん不憫

禁域調査に同行して二人の仲直りを間近に見る羽目になった兵士さん。

総督に従って単身赴任して来たんだろうに見せつけられて気の毒…

とかいう妄想ネタから盛り上がって出てきたネタ。

 

-*-*-*-*-*-*-*-

 

禁域調査に出て最初の夜、祭司殿とジェハナ様が就寝したのを確かめ、

こっそり薄石板を取り出した。単身赴任が決まって急ぎ用意した、

妻との「らいん」の連絡板だ。私と妻の間でしか使えない。

 

妻はショナグ家屋敷で奥様に仕えている。

毎晩一度は「らいん」を確かめる約束は守られているが、

お互い忙しいもので、見るだけ見て返事をしないこともままある。

やりとりも途絶えがちになっているが、今日の事は知らせねばなるまい。

 

『今日の夕食は鴨のグリル』

 

…自慢か、妻よ。

 

妻には折に触れてジェハナ様の様子を知らせてきた。

むろん公のこと、奥様に知らせるべき大事だけだ。

すとーきんぐしてなどいない。断じて。

石板に指を走らせて伝言を残す。

 

「妻よ。ジェハナ様は無事に祭司殿と和解なされた。

それどころか、手を握ったまま10分は見つめ合っていた。つらい」

『何それ詳しく』

 

こんな時だけ返信が早い。というかまだ起きていたのか妻よ。

 

「詳しくも何も、仲直りされてお互いの気持ちを確かめ合われたようだ。

むろん不埒なおこないは一切なされていないぞ。

お二人とも純真この上ない。

そなたに初めて恋した時の気持ちを思い出した。…早く逢いたい」

『えっ、待って気持ちを確かめ合ったってどゆこと。告白?求婚?』

 

…なんだろう。石板の向こうから妻が身を乗り出すまぼろしが見える。

 

「いや、どちらもはっきりとは」

『えぇ~~なんなのじれったいわね!

 ちょっとあなた、けしかけてやりなさいよ!』

「そんな無責任な」

『実質二人きりで出張中なんでしょ、千載一遇のチャンスじゃないの!

 ここで既成事実つくっちゃわないと、何もないまま帰ったら元の木阿弥よ!?』

「私にお二人の婚前交渉を御膳立てしろというのか。

 イムリダール殿に殺されるから物騒な要求はよしてくれ」

 

…妻の言い分もわからなくはないが。

 

「もう遅いから寝るぞ。そなたもはしゃいでいないで、寝なさい」

『待って! 帰るまでにせめて接吻ぐらいさせなさいよ!!』

 

返信はせず「らいん」を終了する。…はぁ。

お二人の初々しさにつられて昔の甘酸っぱさを思い出してしまったが、

妻はもうすっかり「亭主元気で留守がいい」なのだな…。

 

:後日:

 

「妻よ。ジェハナ様と祭司殿が駆け落ちしてしまった」

『あなたそれを黙って見送ったの?』

「うむ。西方に行くほうが安全だという総督のご判断だ」

『そうじゃなくて! すぐ追いかけて経過報告を!! して!!

 ちゃんとくっつくのか心配で奥様も気が気じゃないのよ!!!』

 

……妻よ。

 

-*-*-*-*-*-*-*-

というわけで「旅は道連れ」で持参金運んできた一行に

ハシュバルさんが紛れ込んでいたとかいなかったとか。