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王都新作のこと

 

『それを運命と言うならば』なんと5年3か月ぶりの更新でした。

ごく一部の方を除いて期待を外したようでスミマセンでした、と言うしかありませんが、オマケと番外のための踏み石と思って頂くとして。作者的にこの話を書いた考えなどを少々。

 

そもそものきっかけは、母親の苦労に寄り添うふりで「だからお母さんがいなくなったらどんなに悲しいか子供にわかってもらおう」とかいう残酷絵本が世に出てしかも売れているというのを知って愕然としたことでした。もうかなり前のことですが。

苦しい時に「つらいね大変だね、あなたはえらいよ」と言ってくれる人に救われるのは確かにあるけれど、そこに潜む危うさを書きたかった。

 

あとはリーに子供ができるということで、どんな子になるか、そこに“生まれつき”という問題は生じるのか、リーが自分達のことばかりでなく子供・次世代のことへ考えを広げていく第一歩、みたいな位置付けの内容を盛り込みたくて。

 

それともうひとつ、これまでこのシリーズでは警備隊の仕事――犯人逮捕までがメインで、司法についてはほとんど触れてきませんでした。なのでいい加減に少しはこの国の“法”の在り方を書きたいと思ったのもあります。

と言っても作中で架空の法学講座をするつもりはないので、あくまで出来事に関係のある範囲で少しだけ、ですが。

神々が実際に現実の人々にはたらきかけてくる国での、正義や裁きの在り方について、誰か一人でも興味深く感じて頂けたのなら幸いです。

 

まぁ総合して欲張りすぎました。

次を書く予定はありませんが、もし何かネタが浮かんだら、今度はもっとシンプルに明るく楽しく軽くしたいと思います。

お付き合い頂き、ありがとうございました。